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目次

1:無電柱化

2:新福岡空港の提案(ただいま一部工事中

 

 

電柱をなくし青空を取り戻せ

 

電柱禁止法案要綱

(第1稿)

平成12年8月12日
13.3.10一部改訂

天本俊正

 

この第1稿のあとに平成21年7月の追補を収録しました。ご参照ください。


目次

はじめに

1.総論

1−1 問題の広がり
1−2 産業構造の高度化と電線の地中化
1−3 無電柱化の技術上の問題
1−3−1 無電柱化と安全、震災対策
1−4 市民運動としての無電柱化
1−5 国民的損失

1−6 歩道革命

2.各論

2−1 街中における電線、電柱の実態
2−2 道路占用許可と電柱
2−2−1 電柱開放の法制化
2−3 電柱地中化
5ヵ年計画
2−3−1 光ファイバー網計画
2−3−2 計画の実効性
2−4 電線の設置基準
2−5 建設省と電力会社・旧電電公社との協定
2−6 電線共同溝法について
2−7 道路構造令の歩道の構造
2−8 建築基準法の対応、電気事業法内規の改正
2−9 地中化推進のための技術―掘削技術
2−10 廃棄電柱の処理
2−11 そのほか考えるべきこと

3.緊急政策提言

4.おわりに


 

 

 

 

 

はじめに

 

 今、大都市も地方都市も、その環境保全と景観美化の課題解決がなければ、日本の再生はない。これは私が建設省に28年間、勤めた体験からの信念だ。その中でも戦略的に重要なのは、電線追放である。

 日本の都市の空を覆おう電線が、くもの巣のように都市景観を阻害している。日本特有の景色といってよい。恥ずかしい。疎ましい。なぜ、情けない風景をわれわれは毎日我慢しなければならないか。理由を明かにし、国民的合意と行動で美しい空を都市に取り戻したい。「電柱禁止法」を速やかに制定する。各方面の努力を促進したい。問題の捉え方を小論文にまとめた。おおかたのご批判をいただきたい。平成104月以降、ホームページを立ち上げるとともに本論考も深めた。それを一緒に考えてほしい、と纏めた。

 なお、本小論文は、このホームページで発表し、順次、内容の書き換えを行っている。ご意見があれば、ホームページ掲載のメールにて頂ければ幸いである。

  http://www.amamoto.com

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1.総論

1−1 問題の広がり

 たまたま、建設省退官後に国政選挙に挑戦したりしたので地元の人に訴えるためミニ「機関紙;かちがらす」を毎月発行、そのなかで次のとおり訴えたことがある。(かちがらす;平成910月)

 「電柱は、街路樹より多い」

 「共同溝の整備もやっと」

 「美しい街は、情報化時代の産業基盤」

その後、さらに考察を進めて、以下のような「メモ」をまとめた。

「無電柱化のための考察」

  1. 道路法、さらには民法の改正がいる。都市道路は、交通のためだけでなく情報伝達の公共空間である。

  2. 道路の掘り返しを容認すること。いまや道路の整備も進み、回避道路もたやすい。共同溝にこだわっていては、無電柱化の進捗が遅い。

  3. 直接の地中化を認める。漏電を防ぐなど、被膜技術も進んだ。直接に地中に、電力のパワー線でも電信線でも、有線放送でも埋めていいはずだ。

  4. 民間施工をみとめる。道路管理者や電力・電信供給者だけが電線の工事を出来るとするのでなく民間が自力で地中化工事を出来るようにする。公共は、それに積極的に協力する義務がある。

  5. 10ヵ年緊急計画は、不況対策にもなる。10年間で10兆円投資を日銀特別融資(50年据え置き、50年返還)で地方公共団体、道路占用者、民間個人、法人が力を合わせて実施する。

(以上)

 つまり、電柱の地中化が、ともすれば道路管理者、電力電信供給者の仕事とだけ認識され勝ちである。市民の苦情もとかく「公共の責任を正す」という線に乗り合せのものが大勢である。それは間違い。電柱の地中化は、「公共」だけの問題ではないのです。民法、その根底にコミニテイのあり方から考えていかなければならないということ。しかも、それが緊急の課題となっている。何故なら、わが国の産業構造の改革、高度化に絡んでいるからだ。

 平成3年、私が北海道開発庁(東京本庁)総務課長をしている時に、建築家の梅沢忠雄氏の紹介で、NTTマルチメデア開発部長の池田茂氏(現NTT・TE社長)と呑んだ。無電柱化論争になり、私は「電力と電信は、電線で町を汚している限り都市を論ずる資格はない。」と主張。池田氏は「道路に収めさせないのは、建設省だ」と反論。大喧嘩のような論争になった…と、実は最近になって、梅沢氏から思い出話を聞かされた。忘れていた。今、この小論文を纏めてみると道路行政、都市行政に責任を持ってきた建設省こそ電線「蜘蛛の巣」都市、「電柱が原」町づくりをやってきた元凶の一人であることが、今さながらに認識される。30年もそこに勤めてきた自分が恥ずかしいのである。

 

1−2 産業構造の高度化と電線の地中化

 電線追放の第1は、電線の地中化である。地中化は、今、光ファイバーの都市内整備と歩調を合わせる段階にある。岩波新書に「光ファイバー通信」がある。大越孝敬氏は、「光ファイバーと都市の美観」の章で「光ファイバー網構築の機会に日本の都市を美しくすべき」と主張している。都市の美観とインフラ構築への熱意に関する限り欧米と比べ100年遅れの日本のインフラ構築という。光ファイバー網を日本の都市にすべて構築することは、日本の産業の国際競争力を決定する。

 岡山市は、下水道に敷設した光ファイバーで超高速インターネット網を構築し、各家庭や公共施設を結ぶ「情報水道」構想を進めている(平成11年1210日読売新聞)という。24万所帯に光ファイバーを張り巡らす。玄関先から家庭内への引き込みの経費負担が課題である。こういう先進事例も出てきている。

 電柱の地中化のテンポは遅々たるもの。逆に、光ファイバーの敷設が大事なことから、景観は我慢して10年間で外国を出し抜く架線・光ファイバー網をつくるべきという意見もある。例えば、東京電力は、大口需要家に5000キロメートルの光ファイバーを敷設するサービス(当面、自動検針など)を行おうとしているが、既存の電柱間と地中埋設と双方のやり方を取っている。電柱を使うのは、これは本末転倒というべき。

 オフィスビルの場合は、冷暖房地中管をつかって光ファイバー網を作る試みも多い。地下鉄も使える。このような動きに合わせて、電力線も電信線も、有線放送線も交通信号線も、電柱を使っての架空から、これらの地中管に収納してほしい。

 知恵を出せば10年で、日本中から電柱をなくしてしまう方法はある。

 

1−3 無電柱化の技術上の問題

 コスト高が、隘路といわれている。1メートル30万円とも40万円とも。共同溝に、電力線、電話線、有線放送、はては、ガス管、上下水道まで収納しようとすると当然に経費はかさばる。簡便な管渠が、工夫されたが、それでも今までの架空線に比べれば、数倍。何十年にわたり工夫されてきた電信柱の技術水準に追いつくのは、容易ではない。

 対応策は、多面、多様に考えられなければならない。コストのかからない対応策から言えば、

  1. 相隣関係の慣習を変える。乗り越える。隣の家、隣のビルの壁伝いに電線等を張り巡らす。
  2. 電線類を直接、個別に地中に埋設する。
  3. 宅地の画地割などの後背に線を張り巡らす。
  4. 歩道に埋設する。
  5. 道路を横断する線だけ管渠を通す。
  6. 共同溝を整備する。

いろいろな知恵の出し方はあろう。

 厄介なのは工事に伴う通行止め。工事に伴って渋滞が発生するがとかく嫌われる。全国的にこれだけ道路整備が進んできた。国民、市民は、工事に伴う渋滞はある程度は我慢すべき段階にきている。24時間工事で短期間に集中して工事をすれば、安く、早く安全に地中化工事が行なえる。

 問題はコスト高ではない。

 通産省に指導された電力会社は、基本的に無電柱化に反対している。したがって住宅などでは、通常、1戸あたり300万円近い負担をふっかけて実質上あきらめさせる。ある建築家が書いていることである。

 

1−3−1 無電柱化と安全、震災対策

 阪神大震災において、地中に埋設された電線の被害はどうであったか。当然、地上の電線に比べれば被害は少なかった。関西電力では、被災地の地中電線の50パーセントに損壊や障害が、みられた、として予想外に大きいとしている。しかし、このときNTTの電話線は、接続した管路とマンホールが互いに10数センチずれても、スライドしてゆれを吸収する継ぎ目を採用していて、被害が著しく少なかったという。

 このときも電力会社は「復旧の手間をかんがえると地中化計画の再検討が必要」と反キャンペーンをはった。けしからぬことである。

 平常時のことはどうか。交通事故でぽきんと折れる電柱の数は、、NTTの場合、データは古いが、昭和60年度から4年間で1万4000本という。1日平均10本である。自動車がぶつかり、台風でもしばしな倒れる。

 電柱はよく折れる。平成11年7月23日、昭和56年に設置されたコンクリート電柱(高さ14メートル、直径38センチ)が、福岡市郊外で、根元からぽっきり折れた。車がぶつかるなどで衝撃を受け根元にひびが入り、浸水した雨水によって鉄筋(8本入っていた)が腐食したのが原因という(西日本新聞)。この事件など特に突然起こったわけでなく、いわば自然に倒れた。コンクリート電柱の年数がある程度、古くなってきた現在、住宅地、商店街など気をつけなければならなくなってきている、と思う。

 

1−4 市民運動としての無電柱化

 コストが、本当は問題ではない。行政の保守主義が問題か。お役所もいいわけ程度だが、無電柱化に力を入れている。要望は強い。行政の対応も少しづつ進んでいる。なぜ、いっきょに進まないか。どうすれば進むか。それは、市民生活のあり様にかかわっているからである。結論は、市民、国民の運動なくして動かないということだ。

 19世紀末、アメリカ・シカゴでシテイビユテフル運動が起こった。日本で言う商工会議所が音頭を取って都市美化運動を展開した。アメリカ全土に広まった。日本に有史以来そのような動きがあったろうか。少なくとも街作り、地域作りで、市民、住民が、立ち上がり成果を見た例がない。昨今、自然保護、環境破壊、食品不安になるとマスコミの煽りもあってパーっと燃え上がる。無電柱化にそれが期待できない。理由は、コミュニテイ意識が破壊されているからだ。自分の家の周りの協力がなくては自分の家も見栄えはよくならない。そこに気がつかない。自分のことばかり。古くは日本でも江戸時代、江戸の町並みは、整然としていた。貧しくても、清潔で清清しかった。コミニテイ意識があったし、お上も小さな造作にまで嘴を入れてきた。いいことかどうか、わからない。でも現代の日本が学ぶ必要がある。

 昨年10月の新聞投書に言う。ロンドンで電力会社の高圧線設置に対して市民の反対運動が起こっていてテレビの特集番組が出ている。日本では街中の電線に反対運動が起こったと聞いたことがない。自分の家の軒下に隣の家のための電線を受け入れる寛容さがいる。

普通の市民運動と違うのはそこにある。電力、電信会社が民間会社の形態を取っていることも「公共」への要求に偏りがちの市民運動で取り上げらない理由だ。

 道路管理者、電力電信会社、地方自治体への要求だけでなく「美しい町並み」を自らに要求する市民運動が必要である。

 さらに一言。今ここで、日本の街中から電柱を退治できないということは、地域コミニテイが、都市美観を自らの手で獲得することがほぼ永久に出来ないということを意味する。

逆にいえば、電柱を取り除くことに成功するならばそれは、広告物の自主的コントロール、町並みの強制されない統一などの都市美化の進展、ひいては住みよい地域コミニテイの形成に道を広げるものである。

 

1−5 国民的損失

 最後に、電線が蜘蛛の巣を張っていることの国民的損失を計算しておこう。日本の住宅4500万戸、住宅デザインの評価損が1軒につき100万円と見て5兆円、交通の不便、日常的な不快感電柱1本につき10万円で3兆円だ。大雑把に見ても10兆円、10年間の無電柱化投資はペイする。

 なお、投資額ついては、今のメートル30万円もかかる方式を格段に下げる。規格化も「電柱」に負けないように進めれば、メートル1万円のレベルまで下げれば、10兆円で100万キロが可能だ。市街地の道路としては、20万キロ程度なので、逆にいえば平均でメートル5万円程度まで技術革新を行えばよい。

 わが国の都市のように電線「蜘蛛の巣城」になっている限り、日本の建築家のデザインはどんな努力をしても無駄と言うほかはない。私は、無電柱化が完成するまでは、わが国に建築デザインはない、と確信する。

1−6 歩道革命


 市街地のとくに住宅地、近隣商業地などには、歩道がない。歩道をわざわざ敷石置いて拡張して作る必要性は、そう高くない。しかし、各家庭、各商店、事業所などに光ファイバー網の最末端部分をもれなく、しかも電線で青空を失わずに、地下架線をひくには「歩道」部分に革命的なアイデアを投入すべきである。

ラインマークで区切るだけでいいからその地下に、電線・通信線を埋設(直接埋設または簡易埋設)を系統的に行う。道路の横断は、交差点部分に集中する。いつでも居住者は、家の前の歩道部分から電線・通信線を地下(地表に近い)から接続できるように、公の機関に要求することが出来、担当の公の機関は、適切な負担金を徴収しながらも、この要求にいつでも応じなければならない。

つまり、担当機関は、一戸一戸単位で電柱地中化の要請に応じることが出来るように工事の技術開発を行わなければならない。

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2.各論

 

2−1 街中における電線、電柱の実態

 少々データが古いが、電柱総数は、3072万本、内電力が1794万本、電信が1278万本といわれる。平成2年のデータである。

 視点は変わるが、電柱の設置にかかわる道路占用料は、宅地で電柱1本につき年額700円(昭和60年)というやすさである。電力会社がいかに庶民を愚弄しているか、がわかる。

 

2−2 道路占用許可と電柱

 「道路」は、道路法で定義されている。交通のためとある。しかし、都市では人と情報の交流空間である(環境、防災の貴重な空間でもあるが・・。)一面的な見かたしかしていないため、道路占用許可などがおざなりにしかなされていない。建電協定、建国協定は及ばず、有線放送、交通信号用架線など、ただ、交通に支障が出ないようにという観点しかない。

 民法にさかのぼって、相隣関係から見ると隣家のための電線を拒否してはいけないとなっていない。住宅やビルの建築がめまぐるしく行われるわが国では、いい慣習が育たない。

 民間会社の形を取っているとはいえ、電力会社、電信会社は「お上意識」があり、民間の家々に頭を下げて電線を軒下に這わせてもらうことを頼む考えは出てこない。ここに電柱の禁止の法制化が必要な理由がある。

 

2−2−1 電柱開放の法制化

 平成12年、通信市場の競争の激化、国際化などから、電柱の解放を要求する声が上がってきている。「無電柱化」の政策との絡みは複雑である。

 多くが道路上に立っている電力会社、日本電信電話(NTT)などが保有する電柱を外資系通信事業者や異業種からの新規参入者にその利用を開放せよ、ということである。政府は、平成13年度に向けて電気通信事業法と道路法の改正を図るとされる。法的に義務付けるものである。

 通信の新規参入者は、CATV、有線放送などもふくめ電柱保有者と個別交渉になっていて、利用可能性、利用料金など明瞭でない。道路管理者との関係も、公益事業時代のお役所内部の話にとどまっている。

 しかし、逆にここで電柱の開放が進んで、架空線が一層、増えるのは許せない。光ファイバーは、架空より地中化の方が安定している。電柱開放は、無電柱化の「遅れ」の裏返しの表現である。暫定的に認めるにしても、無電柱化のための課徴金を上乗せするなど、無電柱化促進の方向で調整しなければならない。下水道管や地下鉄他の都市内地下空間の有効利用が、電力線、電信線などの半強制的な地下化とあいまって行われなければならない。

 

2−3 電柱地中化5ヵ年計画

 建設省は、昭和61年度、道路管理者は、コンクリート管を地中に埋め、電力会社、電線管理者が共同で利用するキャブシステムを導入、65年度(平成2年度)までに全国で1000キロを地中化する計画を立てた。いわば「電柱地中化5ヵ年計画」である。その実施を前倒しでやってきている。だが、ポイントを得ているとは言いがたい。

 3期電線類地中化5ヵ年計画(平成7年度−11年度)では、5年間で地中化延長を2000キロを目標とする。第1期、第2期では1000キロがそれぞれ目標になって、実績も出ている。

 

2−3−1 光ファイバー網計画

 建設省には、光ファイバー網の整備を30万キロを平成9年度から22年度までに行う構想を持っている。ここでは道路、河川堤防、下水道に収容空間として簡易型の専用溝を設置する。10兆円が必要としている。内訳は、道路15万キロ、河川5万キロ、下水道10万キロとなっている。

 光ファイバー網計画と無電柱化とは、同じ範囲をカバーしているのではない。建設省の計画から言えば、河川堤防は、直接は関係ない。道路、下水道は、積極的に光ファイバーの総延長を伸ばすだけでなく架空にまわる可能性のある光ファイバー敷設をその分だけ減少させる。

 下水道への光ファイバーの敷設は原則として下水道上部に金具で固定する方法をとるが、底部への引き流し方式を取ることも可能とされる。通信事業への新規参入業者は高速道路や鉄道に光ファイバーを敷設しているが、基地局との足回り回線として下水道を利用したいとしている。もちろん独自に新設するよりずっと工事費も面倒くささも減少する。下水道管にさらにCATV、有線放送線なども収めるべきだし、さらに電信線、電力線そのものも収めるように研究すべきである。無電柱化を進める上からは、下水道管の多角利用、さらには各家庭・事業所などの家の中、建物の中まで接続されるべきだ。

 平成8年の下水道法改正によりこのような方向に大きく踏み出したわけだが、管理の関係で口径80センチ以上に限定されているので、下水道延長の2割程度しか今のところ利用可能ではない。

 

 光ファイバーの敷設空間は、もちろん、このほかに民間の専用線、電力・NTTなどの洞道空間、その他多くがある。地下鉄、鉄道の空間もある。上水道管もありうる。

 例えば、東京都は都営地下鉄の路線に光ファイバーを敷設し、民間に貸し出しをするという。総延長100キロという。貸し出し先は第1種電気通信事業者、光ファイバー会社など民間事業者である。地下鉄に敷設するのは、100本の光ファイバアーを束ねた100芯タイプと200芯タイプがあり、賃貸料は1芯1キロメートルあたり年間8−12万円という。24芯から100芯までしか敷設できない下水道管内の光ファイバーより大容量のため幹線として利用される(日本経済新聞による)。

 

2−3−2 計画の実効性

 電柱地中化の計画では、大型の共同溝の外、キャブシステム、電線共同溝、情報ボックス(簡易型の光ファイバー専用溝)など、簡便な方法が組み込まれてきている。共同溝がキロ30億円かかるのに対し情報ボックスは1000万円で済む。

 これらの計画の欠陥は、まだまだ「本気でない」ということである。日本に道路は100万キロある。地方、および都市と都市との間を除いて都市部だけとりだしでも10万キロはある。それに対して1000キロ、2000キロの対応では、蝸牛の歩みでしかない。コストについては、簡易のキャブなどで安くなってきた。メーター1万円で光ファイバーを埋めるまできた。直接の埋設、建築物の軒下活用などを加えれば、無電柱化はもっと簡単に出来る。計画がわずかな量でしかないのは、都市美化の観点から電柱地中化を捉えていないから、発想が「工事さえやればいい」「建設業者の需要つくり」に偏重している。

 

2−4 電線の設置基準

 電気事業法の技術基準が、当面の最大の敵である。市民の都市美観を求める声に馬耳東風、その原因はこの「技術基準」(昭和40年通産省令)の存在だ。「電路は大地から絶縁する。」感電防止や、事故防止、管理の利便ばかりを言って、「景観」への配慮は一言も出てこない。時代遅れの技術水準にしがみついて、頑として妥協していない。

 「離隔距離」つまり、電線が、他のものに近すぎて感電、出火などの障害を起こす危険性を防ぐ。空中では1メートル、地中では30センチといった距離が決められている。絶縁材料の発展に見合っていない。

 電信線、電話線などの弱電流の電気を伝送するために使用する電気導体は「弱電流電線」と呼ばれる。架空電線と架空弱電流電線とを同一支持物に施設する。電線柱を一緒に使うことは、本来好ましくないとしている。「混触」の機会が多くなり、静電誘導、電磁誘導などの障害が生じやすく、また異常電圧(ショートしたり?)弱電流電線に侵入する機会が多くなる。

 つまり電柱と電信柱、有線放送、交通信号などのための柱は別々に立てろということ。それは今の何倍も電線の錯綜、電柱の乱立を招く。そこでご都合主義が出てくる。「危険の程度が低く、資材の節約、道路の美観、交通の妨害排除などの見地から(柱の共用が)認められている。」という。おいおい、待てよ。折角道路の美観を持ち出すなら何故、もっと徹底しない。街を蜘蛛の巣状にしているの一目でわかっているはずだ。別個の腕木に75センチの相互の「離隔距離」という。

 「地中電線路」は、建設費が高い、補修が面倒なことから、架空電線路が好ましくない地域において採用される、としている。「架空電線にくらべ、他に与える障害が少なく、自らも損傷を受けることが少ない。」しかし美観は言わない。

 3方法がある。暗渠、管路引き入れ、直接埋設の3方法がある。筆者は、直接埋設をどんどんやるべき、と思う。土冠り60センチ、道路など車両、その他の重量物の圧力を受ける場所は1.2メートルと厳しい。いまの絶縁被膜技術の発展からいって、歩道などはもっと浅い深さでいいはずだ。

 「屋即電線路」も規定はある。「造営物の側面に電線を取り付けて施設されるもの。」しかし、これは第三者が自由に出入りできる場所には施設できない。電線の張り方の一般的方法としては考えてさえいない。

 このほか架空電線の地表上の高さを5メートル以上とか、複合ケーブルの規格などなど細かい規則がいっぱいだ。この技術基準に適合していないときは通産省は、計画の変更や廃止を命ずる。

 「電柱禁止法」を策定する場合、この技術基準に変わる合理的、先端的基準を全面的に作る必要がある。

 例えば、地中化を進める場合、掘り出した土の処分も馬鹿にならない。架線を収納した後、その場で管渠の空間に土を埋め戻しても、危険性は増えない。むしろ外からの力に対しては安全だ。保守作業は、手間がかかるかもしれないが、数十年に一度のことは、コスト高も仕方ない。

 

2−5 建設省と電力会社・旧電電公社との協定

 いま、道路、街中の美観を問題にしている建設省と電力会社・旧電電公社との間にどのような考え方の調整があるか。道路の美観から厳しい注文が出ているとは思えない。産業、生活の最低条件の維持のために妥協につぐ妥協をしているのが道路管理者だ、と認識している。例えば、電柱の敷設に対する占用料は、地中化推進のために架空線に対し十分高い占用負担、特に道路の上の空間部分(柱の建設部分だけでなく)に負担を求めれば、地中化との「著しい高い」コスト格差の大きな部分が解消される。

 道路法39条は、道路管理者は、電力、電気通信のための占用許可をこばめないとされている。片務契約だ。不平等条約だ。拒めない「許可」など不正常だ。

 

2−6 電線共同溝法について

 平成76月、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」が施工された。C−C−BOXといわれる電線共同溝、つまりガスや水道なども入った共同溝でなく電力事業、通信事業のための電線を促進する。道路管理者が、2社以上の電線占用許可に対し共同溝を設置するものである。

 

 

2−7 道路構造令の歩道の構造

 道路構造令は、いかに車を早く安全に走らせるかに重点が偏りすぎている。都市内道路は、繁華街も住宅地も情報空間がいかに確保されているかに主要な関心をおくべきである。

今、規定はどうか。残念ながら無に等しい。

ここで提言したい.

  1. 歩道は車道と違う基準にすべきである。

  2. 日常的な掘り起こしを当面、寛容に考えるべきである。

  3. 敷石を復活し、歩道の下の諸施設の管理を容易にすべきである。昭和30年代から40年代にかけて学生運動が過激になり、投石の材料である敷石は敬遠された、という。

  4. 電柱から枝線を電信柱に沿って引きおろし、足元から各家庭への引っ込み線を浅い地中に埋めることを、まず認めるべきである。電柱を全部すぐなくさなくても良い。垂れ下がる高級住宅地の引っ込み電線を居住者の負担でなくさせる方策を採るべきである。

 以上は、平成11年4月にしたためたものである。平成12年秋、建設省は、重い腰を挙げ、道路構造令(政令)を30年ぶりに抜本改正し、平成13年度から新適用を目指す。

内容は、市街地道路に歩行者・自転車を主役にする構造にあらためる、歩道を設けるなどである。一歩前進であるが、「情報空間」としての都市道路の考えまでは及んでいない。

やはり「道路法」そのものの見なおしが課題として残る。

 

2−8 建築基準法の対応、電気事業法内規の改正

 前項に引き続いて、そもそも建築基準法は、垂れ下がりの電線しか、認めていないのかか、という疑問にぶつかる。答えは、建築基準法には、そんな規定はない。電気事業法の基準が優先して、家々の外壁から電柱までの電線の垂れ下がり群を作っている。

 「オーム社」の「屋内配線設計入門」(平成元年)を見る。電力計の取りつけは、地表1.8メートル以上、2.2メートル以下(内規170−6−2)とされている。どうしても壁高く電力計を置け、という規則だ。したがって架空線になる。一部、架線でなく地中で引き込む場合には、1メートル20以上、保護物に収めて埋めることになっている。

 まず、電気事業法内規の改正を行い、電力会社は、建築物の敷地に対して電力線の接続を敷地境界で接地して行う義務を課すべきである。これが上手く行けば、引き続き、電信線、光ファイバーなども同様にすべきである。このことにより下水管を利用した家庭に至る光ファイバー網の促進も可能になる。

 

2−9 地中化推進のための技術―掘削技術

 自動掘進、自動懸架、無掘削探知などの技術が進んでいる。

 地面を開削せずに地中に管路を直接敷設する。小口径トンネル推進機が、開発されている。1例で、関電工のものは、エアーハンマードリルでトンネルを掘削し、ジャッキを使って地中線管路を押し込む。直径15センチの管路を毎分10センチ速度で掘削できる。

 NTTが実施している、道路を掘り返さずに光ファイバーを敷設する方法がある。油圧を利用した掘削装置がモグラのように横向きに掘り進む。推進方向を自動制御でき、曲線に掘ることも可能である。道路交通への影響も少なく、昼間の工事も可能になる。

 掘削の方法も、従来の方式の中でも、水力を使ったりする方法がある。

 管渠の中をロボットを使って自動的に懸架する方法は、もう十分に普及している。

 

 地中探査装置も利用できるようになってきている。地面に近いアンテナ部から電磁波を照射し、反射してくる電磁波から地中の状況や埋蔵物が検知できる。1人で持ち運べるものが開発されている。

 管渠の材質について。ガス管の場合だが、ポリエチレン化が進んでいる。鉄製がほとんどあったのが、軽さや柔らかさを生かしたポリエチレン管が普及してきている。ポリエチレン管は、強度が落ちるので幹線道路の下の本管では使えないが、鋼管にくらべ、軽くて曲げやすく伸び縮みする、土中で腐食しない、鋼管の半値なみ。電線類の地中管もコンクリートばかりにこだわらずに、ポリエチレン、FRPなど、直接埋設を補う方法を考えるべきである。光ファイバーの敷設むけにも、塩化ビニール製リブパイプが急成長している。直径30センチ前後の管のなかに光ファイバー管を通すサヤ管が6―10本入る。表面に蛇腹のリブをつけ、強度も増し埋設の安定もある。地下水の侵入も防ぐ特殊加工もされている。

 一方、建設省が平成11年度から道路下の水道管の埋設深度基準を従来の1メートル20から60センチに緩和した、などのように規制緩和もある。

 

 地中化に伴うデーター管理の重要性は強調して強調しすぎることはない。財団法人;道路管理センターは、ガス会社、電信会社、電力会社の協力を得て、総合的な地下配管地図をこつこつと作ってきている。最近のGPS、GISの技術の進歩に乗って、精度、管理の確かは向上している。無電柱化への大きな反論の一つは、管理保守が架空線に比べて難しいことがあげられている。データ管理が情報化時代にふさわしい高度のものになれば、この批判はあたらなくなる。

 

2−9−1 地中化以外の無電柱化

 前述したように地中化以外の「無電柱化」の方法をもっと真剣に追求すべきである。相隣関係の慣習を変える必要があるが、隣の家、隣のビルの壁伝いに電線等を張り巡らす。宅地の画地割などの後背に線を張り巡らす。新しい団地建設では、特別に変圧器の収納家屋を作ることも、あろう。宮脇淳氏(建築家)は、ボンエルフ広場に共同自転車置き場に集中メーターを設置して、配線規定に抵触せずに、メーターから先を埋設する方法をあげている。

 横浜市南区の横浜橋商店街では、平成4年、改装時に、電線類をアーケード内に組み込むことで無電柱化を行った。

 

2−10 廃棄電柱の処理

 約3000万本(平成2;3072万)ある電柱は、計画的に撤去される。年間100万本。産業廃棄物で困るのではないか。心配ご無用。電柱のコンクリート部分は、道路建設の材料、中の鉄筋は、鉄鋼の材料として、碍子なども舗装用タイルに使われるなど100パーセント生まれ変わるといわれる。

 

2−11 そのほか考えるべきこと

 無電柱化は、総合行政の課題であり、国民運動の課題である。したがって広い範囲からの議論があってしかるべきである.自治体の対策論、経済的な負担のあり方、さらに技術論も、安全性、効率性など議論は尽きない。自治体では進んでいるところをモデル的に取り上げたいものだ。例えば熊本県人吉市は、無電柱化を町ぐるみで推進したという。

 全国で3000万本をなくすのに何年かかるのか。都市の美しさ、住み安さとどうかかわるのか。課題は多い。が、いま平成12年(2000年)に取り組まれなければならない課題である。

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3.緊急政策提言

  1. 情報化公共投資の最大の柱として、光ファイバー網の敷設が上がっている今、無電柱化が、公共投資として、光ファイバーをとり込む課題として政策的に取り上げられねばならない。決して光ファイバーの敷設のために醜い電柱の温存という方向に行ってはならない。

  2. 新しい電柱の敷設を、市街地では禁止すべきである。各家庭、オフィス、商店等への電力、電線の境界線上での接続は、地中で行われなければならないよう、配線規定を改正すべきである。

  3. 無電柱化を実行する「公社」を作り、共同溝などの建設に、超省庁の権限を与えること。全都市自治体は、この公社組織に参加しなければならない。公社総裁は、国務大臣を持ってあてる。原則10年程度の緊急整備期間を設けること。10兆円の予算措置をすること。国民は、この全額を、税金もしくは建設国債を通じて平等に負担しなければならないこと。(バブル金融処理のための不良債権の国民負担より随分と安いものよ)

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4.おわりに

 美しい国はそのことだけで好まれる。愛する日本が、都市景観の面でも今のままでは、我慢がならない。

 おおいに道路を掘り繰り返し、都市に青空を取り戻し、しかも世界最先端の情報基盤を内包する都市構造を作り上げることが、私の夢である。今まで見てきたように、コストが問題なのではない。工夫と熱意が足りない。電力関係の優秀な技術者が「工事費が数十倍も違うので、そんなことは・・」と昔の思い込みのまま、反論するようなことは一日も早くなくなってほしい。住民も日本の町の商店街、住宅街で2日や3日くらいの交通遮断など、美しい街づくりをするために不平を言わず、黙って我慢して支援してやってほしい。

 この小論文をホームページに発表し、大いに各位の批判を受けながら、順次、内容の改善を図っていきたい。

(以上)

追補(平成21年7月1日)

 

NPOジオストラテジー研究機構

 

電柱地中化の取り組みの現状と課題

 

平成21年6月27日

天本俊正

 

1.概況

 

 電柱地中化5カ年計画はその後も実行され、今回の景気対策補正でも2200キロが4400キロ以上に拡大された。しかし、地方都市や住宅地を中心にして、制度化されていない欠陥が、底なし沼の景観阻害を起こしている。技術的な抜本策が必要なのではないか。

 

2.最近の電柱地中化に関する課題

 

1)光ファイバーの敷設

    NTTの3000万所帯の光ファイバー化計画が、スローダウンしている。

 

2)家庭での太陽光発電、燃料電池発電の普及、電気自動車の普及

  住区での配線計画に見直しが必要いなっている。電気自動車に対する電気補給の体制はどうするか。

 

3)電柱、下水管、ガス管などの老朽化;住宅地道路の維持管理

  電線にひっかかっての交通事故、下水管埋没による道路破損など

  道路舗装;保水能力を高める

 

 

4)中国・アジアの諸都市の電柱地中化

  中国、インド、インドネシアなどでの急速な都市化に景観がついていけない。

5)その他

 古タイヤによる舗装、古電柱の骨材処理

 

3.課題

 

 各都市を横断する組織としての電線地中化公社の創設

 政治家の意識:小池百合子が熱心とか

 

(以上)

 

 

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2:

 

環境共生型空港=福岡新空港の提案

 

■環境共生型空港■

新福岡市民空港

提  言

平成16年12月

環境共生型空港を考える会



○位置・提案趣旨

1.世界一美しい空港を
2.都市活力創造のための空港
3.経済性と機能性を求めて
○おわりに


                はじめに

 新福岡空港の整備については、これまでにも、さまざまな分野から多くの調査・研究が積み重ねられ、多方面にわたる議論が展開され、また、多くの提案がなされてきています。
 本提案は、市民の立場にたって、「市民に愛され、親しまれ、誇りに思う空港」という視点から、福岡市の都市発展と環境の保全を第一に考え、新空港の海ノ中道・雁ノ巣立地を提案するものです。
 大方のご批判、ご検討を期待いたします。

 本提案は、下記メンバーの共同作業によるものです。現在、なお、詳細については作業を継続中ですが、おりから、国と県市において空港研究会がパブリックインボルブメントとして行われつつありますので、ここにこの案を提出して、公的な検討の端にも乗せていただこうとする次第です。
 市民の忌憚のない意見を伺いたいと思っております。
 なお、詳細については別途の本編・資料集を準備しております


環境共生型空港を考える会

天本俊正/安増昌子
佐藤伸道柴田憲治/ /藤田吉
NPO法人 ジオストラテジー研究機構
NPO法人地域環境計画研究所ネットワーク


■環境共生型 新福岡市民空港 提案書
作成発行日:平成1612
発行責任者:環境共生型空港を考える会事務局

福岡市博多区博多駅東3-1-29
博多第2ムカヰビル 8F
NPO地域環境計画研究所内Phone: 092-475-5541 / 
http://www.amamoto.com
http:homepage2.nifty.com/repin
*

本提案書は、上記が作成したものであり、一部の記載事項については、今後なお変更することがあります。また、無断で複写したり第3者に提示することを禁じます



都市・市民のための空港‥‥(位置について)

                  海ノ中道・雁ノ巣に立地の提案主旨

福岡の都市活動を支える空港は、都心に近く機能性や利便性に富んでいることが望まれます。
また、市民が誇りに思い、愛され、親しまれる空港であることが望まれます。
そのような視点から、海の中道・雁の巣に、環境共生型空港を立地することを提案します。
当該地に立地することで、具体的には、次のようなことが考えられます。

■空港の機能向上が図られる 

限られた事業費の中で、平行滑走路2本を確保することが可能であり、離着陸回数を現容量より大きく増やすことができます。
海の中道、雁ノ巣に新空港を建設した場合の、空港としての機能性や可能性(ウインドガバレッジや航空制限等)については、既にいくつかの調査がなされており、空港としての機能を十分に果たすことが明らかにされています

■利便性が確保される 

都心からは、鉄道ではJR香椎線(仮称海の中道線)の利用、将来的にはアイランドシテイを抜ける地下鉄、更には、海上(船)からのアクセスが可能であり、利便性が確保されます。

■自然環境との共生が図られる

白砂青松の美を誇る国営公園や生物の宝庫である和白干潟の整備とあいまって、自然との共生を目指した、世界一美しい空港公園の実現が可能です。

■地域との融合が図られる

周辺地域や海域との一体的整備のもとで、地域の潜在的資源の顕在化が図られ、地域の活性化とともに、観光漁業、レジャー基地への変身の可能性が生まれます。

■福岡市街地の機能的発展に寄与する

現空港が移転することにより、福岡市街地の高度制限等の規制が大幅に緩和されることにより、都市の立体化が進み、都市機能の充実化が促進されます。




 自然にやさしく、世界一美しい空港を
                 
‥‥公園空港

世界に誇る美しい景観     白砂青松の海岸
‥‥玄界灘に臨む九州北部の海岸は、白砂青松の海岸としてその美を誇っています ‥‥
●空港建設に併せ、海ノ中道の美しい海岸線カーブをアーク状に膨らませつつ、新しい白砂青松の海岸を創造するものとします。
●外海の埋め立てに際しては、人工リーフを設置し、潮の満ち干き(なぎさ)のある砂浜を形成します。
●また、防風林・松林の幅を拡張し、緩衝緑地としての機能を向上させます。
(注)東北部の三苫,西北部の西戸崎あたりの北海岸

自然環境への配慮  和白干潟との共生
‥‥アイランドシティと空港に囲まれた和白干潟に、多くの渡り鳥がやってきます‥‥
●干潟と共生する自然にやさしい空港の建設と運営を行うものとします。
●人とともに、多様な生物が、この21世紀型の環境に配慮した空港のあり方に対する監視官となるものと思われます。
□和白干潟はラムサール条約の登録推進。
(2003年11月に国指定鳥獣保護区に指定)

地域の資源・産業の活性化  漁礁、海の牧場
‥‥玄界灘や博多湾は、福岡を代表する海の幸の宝庫です‥

●人工リーフには漁礁機能を持たせます。
●海岸部の一部埋め立てや、飛行機の航路制限にかかるエリアには、周辺の海域の状況を勘案しながら、漁礁、藻場、エゴ海苔や和布の養殖場を形成して、海の牧場としてゆくものとします。

地域の文化や生活との融合  公園空港‥‥市民の憩いの場としての国営海の中道公園をはじめ、志賀島や雁の巣周辺には地域の優れた文化や生活が息づいています‥
●海の中道公園との一体化を図るとともに、白砂青松の緑の空間や、海浜、海洋レジャー等の拠点が織り込まれた、市民に親しまれる空港公園の実現を目指します。
●地域の神社、漁協等地域の歴史や文化、産業と一体となった、地域環境共生型公園の整備をはかるものとします。
注)志式神社、奈多漁港等





 未来へつなぐ、都市活力創造のための空港

新空港が海の中道・雁ノ巣に立地することにより、次のような都市構造の再編が可能となり、福岡市は未来に向かって、活力に満ちた機能的都市へと変革してゆくと期待できます。

都市交通の再編

●福岡都市圏東部地域の交通機能の向上

JR香椎線の新駅整備/地下鉄の延伸/空港と九州自動車道を結ぶ高規格道路の整備(IC新設)等

●博多湾海上交通の拡充とその利便性の向上

空港と福岡市の西部(九大や佐賀・唐津方面からの交通結節点)を結ぶ航路の拡充/博多埠頭・能古島等の整備

●福岡都市圏内環状道路の整備促進

現空港のほぼ中央に東西を結ぶ道路の整備

都市拠点の再編と機能性向上

●現空港跡地の活用による新都市拠点の形成

中枢管理機能のオフィス街など、福岡市の中枢性を一層高める(アジアゲートウエイとしてふさわしい都市の形成)。

●海上交通の利便性向上による沿岸部の拠点形成

ウオーターフロントの整備

●都心部の再開発促進による都市環境の向上

・現空港跡地の活用(ツイン型区画整理等による、都心部の道路整備を進める)
・天神や博多駅周辺の高さ制限の解除による計画的効率的都市施設の整備が可能となる/等

自然と共生する都市の実現

●空港公園の市民公園化

・白砂青松の海岸、海の中道、和白干潟、志賀島等を含めたエリアを海浜環境共生型空間とする

●都市の防災化

・交通網の再編(陸、空、海)、都心部再編等により、都市の防災化。」
・現空港跡地の活用による洪水対策などへの寄与

●効率的都市・環境負荷の低減

・機能的、効率的都市への再編による環境負荷の低減(省エネ等)

現空港の跡地利用

●板付国営都市公園

■平尾公園と一体化し、福岡のセントラルパークとする

■雨水調整、都市防災機能

■浄水貯留池

●新都市拠点の形成

●福岡市東南部の業務センター地区

民間所有分の返却→住宅地化



3 経済性と機能性を追求して・・・・・
     新空港の経済性と機能性を追及し、概ねの事業内容を提案いたします。

施 設

●空港全体面積

●空港全体面積を 約600haと設定し、施設を確保するものとします。
滑走路  :3,000m×2本(クロースパラレル型)
ターミナル:駐機スポット、旅客・貨物ターミナル、航空機整備施設等
関連施設 :鉄道駅、道路整備等の交通施設、及び環境に配慮した緩衝緑地等
注)将来の滑走路増設等に際しては、海側への拡張が可能です。空港関連施設、業務施設はアイランドへの立地も考えられます

事業費

●事業内容

事業は、埋め立て最沖部に人工リーフ(約10km)を設置し、白砂青松の海岸(海岸幅100m〜200m)を形成し、これに囲まれた空港整備とします。

陸上部整地造成 :約400ha(現雁ノ巣、海の中道公園の利用)
海上埋め立て造成:約200ha(最も深い水深で15m程度−平均10m程度)

●事業費

事業費は、約2,200〜2,600億円と想定されます。

造成事業費   :1,800〜2,000億円(人工リーフ、土砂埋め立て)

滑走路舗装等  : 200〜 300億円

環境整備費   : 200〜 300億円(砂浜の形成、松林の植林、公園整備等)
*ターミナルビル及び、交通関連施設等の上物建築物は含まれません。(PFI等の活用が考えられます)

管理・運営

事業費

●事業費は、原則として国庫によるが、PFI等の活用も考えられ、地元としての応分の負担もありえます。
●ターミナルビル、空港関連施設については、地方公共団体、民間など今後の課題となります。

管理運営

●福岡新空港の特別の状況を考えての管理・運営方式もありえます。すなわち、周辺緑地・公園の管理:ラムサールの環境保全を含めて、新法(特別法)つくって、管理・運営してゆく方法もあります。(環境省、国土交通省、農林省等を含めてのものになると想定しています)

スケジュール

国の適用

国による空港重点整備は、社会資本重点計画(平成1519年)にものっとり、中部新空港、関西空港2期、羽田第4滑走路、神戸、静岡等の各空港の整備も平成1920年度ころにはほぼ完成をみていきます。既に着陸回数が満杯の福岡空港は、新規着工に向けて次の空港整備の課題です。その適用を受けるためには、早期検討、計画が望まれます。

市民空港への取り組み

  空港移転は、現空港跡地の活用による都市的、機能的土地利用への変換はもとより、福岡都市圏のあらゆる都市的活動に多種多様な波及効果をもたらすものと考えられます。
また、将来にわたって市民に親しまれ愛される空港の実現に向けて、整備にいたるプロセスにおいても、早期の市民活動への取り組みが望まれるところです。